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マークスの山

e0012194_0351570.jpgSan Franciscoへの出張に連れて行った『マークスの山』をやっと読了。TITLeの「完全無欠のミステリー! 全280冊」特集で、福井晴敏さんが尊敬する作家として高村薫さんを挙げていたので、ここは一つ直木賞を獲った『マークスの山』を読んでやろうと思って読み始めたら、いやぁー時間がかかりました。こんなに時間がかかったのは久しぶり。

とにかく情報量が多い。人物描写と状況説明に執念とも言える頁数を割いている(北岳マップを何度読み返したことか)ので、ちょいちょいと読んであると、あっという間に話が分からなくなる。時差ぼけの頭で読んでるときは、ちょっとした苦行気分だったなぁ。

刑事たちの葛藤やリアルな警察機構の描写、合田の背景、切ない水沢と高木の関係、吾妻と林原の息苦しい対決など、重厚な文体に相応しい作品ではあるけれど、好きな小説か?と問われるとうーんと押し黙っちゃう。ネタバレ>> マークスの動機が弱いと思うんですよね。マークスと名乗るに至った経緯も希薄。謎が遺書で明かされるという展開もどうかと思うし、最後に、北岳に向かうとき、北岳から富士山を見たときの水沢の心情も知りたかった。物語の途中から、水沢だけがどこかに置いてきぼりにされちゃった感じが不満なのです。

それにしてもこれミステリーじゃないですね。
帯にあった警察小説とも違うし、解説で述べられている「藤村藤村のような文学」が一番しっくりくるかな。久しぶりに『破戒』を読み直してみよっと。
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by dlynch | 2006-01-28 00:35 | book
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