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にぎやかな天地

e0012194_06765.jpg新刊が出ると問答無用でハードカバーを買ってしまう作家の一人、宮本輝さんの最新作『にぎやかな天地』。じっくりと小説が味わえます。

豪華限定本なるものの制作を生業にしようとする32歳の編集者が「日本の優れた発酵食品を後世に伝える本」を作ることを軸に物語は進むわけですが、ごく普通の生活を営んでいたらまずもって関わることはないだろう特殊な世界ですよね。そんな世界を垣間見える(そんな気分になる)のは、この小説の面白いところの一つ。主人公の聖司くんは、発酵食品以外の豪華限定本に着手していくんだけど、発酵食品をもう少し掘り下げて欲しかった。味噌や醤油、納豆の取材で聖司くんは何を感じたんだろう。でも、そうすると『美味しんぼ』になっちゃうか。

ミステリーに慣れてしまうと、聖司くんのうじうじしたところや2人の女性とのゆっくりした進展、そして「ヒコイチ」の謎が歯痒く感じられてしまうんだけど、自分の日常と照らし合わせてみれば、まさに普段のワタシは聖司くんみたいに一度決意したことを、何度も決意し直しちゃうわけで、この本を読んである間は時間がゆっくりと進んでるように感じました。

ところで、宮本輝さん少し説教くさくなりましたね。
阪神淡路大震災に遭われたせいか、お年をとられたからか分かりませんが、世間に対して苛立ってるようです。
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by dlynch | 2006-02-03 00:05 | book
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