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症例A | 多島斗志之

e0012194_2318568.jpg『症例A』を読み直してみました。

2000年度の「このミステリーがすごい!」ベスト9の作品ですが、ミステリーじゃないですね。前任の医師の謎の死、博物館の贋作の謎、エキセントリックな患者、そして驚愕のDID・・とミステリー的な要素で読者を楽しませてくれるものの、根本的には精神医療の現場を真摯に描いた医療ドラマといって差し支えないと思う。

この本を読みながら、麻雀が強くて、テニスがうまくて、男子からも女子からも人望があった大学時代の友人が躁鬱病に罹ってしまったことを思い出しました。発病後は同級生だった彼の奥さんから経過を聞いていたんだけど、一番身近にいた彼女は言葉では言い表せないくらいの、ある意味本人以上の心労を抱えていたはず。気丈に振る舞う姿が痛々しくて、かける言葉が見つからないことも度々ありました。がんばれなんて白々しくてとても口に出せない。

この小説でも描かれているように、治療をする側も真摯であればあるほど、患者に巻き込まれて自分自身がおかしくなってしまう。相当な精神力と体力と決意がないと精神科医は務まらないことがよく分かります。

榊がこのあと亜左実や由起とどう向かい合うのか?続編を読んでみたい。
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by dlynch | 2006-06-10 00:00 | book
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