『たぶん最後のご挨拶』で、東野圭吾さん自身が一番思い入れが強い作品と述べている
『天空の蜂』読了したのは出張に出る直前のこと。600pを越える大作だけど、一気に読んじゃいました。もっとゆっくり1行1行を丁寧に読みたいのに次がどうなるかを知りたくてページを捲る手が止まらない。サスペンスならではジレンマが味わえます。
特注のヘリコプターが盗まれて、原発の真上でホバリング、機内には子供が一人、そして天空の蜂を名乗るテロリストの脅迫状。出だしはおもわず千里眼?なんだけど、ここにはスーパーなヒロインもヒーローもいません。この事件に関わる何人かの人物の視点を小気味よく切り替えながら、物語がどんどん進行していく。この切り方が実に絶妙。実際にこんな大事件が発生したら、犯人も含めて、いろんな人がいろんな関わり方をするわけで、それぞれの立場で事件を語る見せ方はドキュメンタリーのようにリアル。散りばめられた伏線が後半いろんなところに効いてくるし、エンターテイメント作品として超一流です。
そして、『天空の蜂』がすごいのは、面白かった!楽しかった!で終わらずに、おそらく、この本を読んだすべての人が原発のことを考えざるを得なくなること。これを読んでなかったらアヤちゃんのお母さんか西武池袋線のサラリーマン的な発想しかできなかっただろうなぁ。次読むときはその辺をもっとじっくり読まなきゃ。