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芸術起業論 | 村上隆 

e0012194_0543224.jpgどうやら余裕が無くなると架空の世界よりもリアルな世界に惹かれるようで、カンブリア宮殿に出演していた村上隆の言動に感心し、その週末『芸術起業論』を買ってみました。

それまでは村上隆と言っても胡散臭い芸術家としか思えず、どうしてあの気色悪いヲタクなフィギュアがウン千万で落札されるのか、そもそもなんでサザビーズが扱うのか、ヴィトンのモノグラム×チェリーに人気があるのか、六本木ヒルズにとんがり君がいるのか、どれもこれも理解不能だったんだけど、そいういうカラクリだったのね。村上隆は芸術家であると同時に優れたマーケッターなのです。

大学の講義で、古代ギリシャで哲学が発達したのは奴隷制度のおかげだ。生活のことを気にせずに日がな一日思考に耽っていられなければ、優れた哲学は生まれないという教授の主張を聞いたときに妙に納得した覚えがあって、芸術=ストイックでなければならないという概念はこの主張に通ずるように思う。でも、芸術家といえども食っていかなければならないわけで、認めてもらわなければ始まらない。創作活動にコストがかかるのも当然。となれば自分を、自分の作品を世間に売り込まなきゃいけない。これはもう立派なブランディング。

カラクリとはいえ、欧米の文脈(この単語は至る所に出てくる)の中に、現代の日本芸術を落とし込むことはとてつもなく大変なことだろうから、その行動力と信念、戦略、戦術、裏付けのための調査には、マーケティングを生業とするワタシにはとっても響きました。肝心の彼の作品?それは今でもよく分かりません。少なくともMiss Ko2は自宅には置きたくないなぁ。
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by dlynch | 2007-06-28 23:51 | book
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