ブログトップ

cinema and book

killbill.exblog.jp

半島を出よ(上) | 村上龍

e0012194_110161.jpg久しぶりの村上龍です。

かの『愛と幻想のファシズム』がリリースされたのが大学生のときで、『69』『テニスボーイの憂鬱』も同じ頃。その前には『コインロッカー・ベイビーズ』『限りなく透明に近いブルー』があり、後には『フィジーの小人』『超伝導ナイトクラブ』がありと、この頃が作家としてもっともノってたときではないかと。その後、村上龍はさらに経済、政治、科学に傾倒していく訳ですが、それがこの『半島を出よ』に集約されてます。

北朝鮮のコマンドが福岡を制圧する。ここまでは誰でも思いつけるかも知れない。だけど、なぜ制圧するのか?どうやって制圧するのか?兵士のモチベーションは?制圧後のビジョンは?日本はどう迎え撃つのか?福岡市民はどうなるのか?米国や韓国はどう動くのか?

フィクションにリアリティを与えるためには、ものすごい想像力と情報が必要なわけで、経済、政治、科学、軍事の知識をたっぷりとため込んだ村上龍がいつもの暴力的な筆力でぐんぐんと物語を進めていきます。しつこいくらいのコマンドや武器にまつわるディテールもあいまって、ホントに未来の日本はこうなっちゃうんだと錯覚するくらい。

セリフはほとんどなく、専門用語も多く、句読点が少ない文体なので(学生のころ、無謀にも真似たことがあった)、お世辞にも読みやすいとはいえないけど、気がつけば残すところあと2章。さて、どんなフィナーレが待っているのか。
[PR]
by dlynch | 2007-11-09 22:32 | book
<< 半島を出よ(下) | 村上龍 どろろ | 塩田明彦 >>