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最悪 | 奥田 英朗

e0012194_13204377.jpg「他人の不幸は蜜の味」という言葉があるように、不謹慎ながら自分に関係のない第三者の不幸は基本的におもしろいものです。それが小説のような架空の世界のことだったらなおさら。『最悪』では、零細下請けの社長とOL、ちんぴらの三者三様の不幸せに落ちていく姿がこれでもかってくらいに悲惨に描かれていて、可哀想になる前に笑っちゃう。

それにしてもよくもまぁやることなすこと裏目裏目に出てしまって、転げ落ちていく他人の人生を描けるもんだと感心しちゃう。しかも、読んでる方の気分が悪くならないぎりぎりの線で抑えられるってのはすごい。自分に置き換えたら、立ち直れないくらいの悲惨な話なのに、思わず笑っちゃうのは間違いなく奥田さんの筆力。彼が描き出す物語にはどれもユーモアが溢れてるんだよね。ただし、この作品の場合はブラックユーモアだけど。

3人がそれぞれの事情を抱えて、とある場所で居合わせたことで引き起こる急展開。怒濤の展開の中でも、お涙あり、男気あり、悲哀あり、最後には鮮やかな幕引きへと繋がるのは、ここに至るそれぞれの経緯を丁寧に描いてきたからこそ。ここを細切れに読んじゃうとおもしろさ半減なので、最後の100ページは一気に読みましょう。

昔から理屈っぽいと言われることの多かったワタクシからすると、川谷を追い詰める太田に自分を重ねちゃって、ちょっと複雑。論理を振りかざすのはほどほどにしなきゃ。
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by dlynch | 2008-03-10 13:29 | book
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