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新世界より(下) | 貴志 祐介

e0012194_23444758.jpgとうとう『新世界より』が終わってしまいました。

下巻を読み終えても当初の評価は変わらず。自分史上ベスト3入りです。この小説のおもしろさは想像力が駆り立てられること。呪力というあり得ない力を手にしたときに人はどうなるのか、ミノシロモドキやバケネズミのような想像上の生物をどう捉えるのか、神栖66町の在り方を肯定するのか否定するのか、1000年後の世界に至る過程をどう解釈するのか、その中で自分だったらどうたち振る舞っているだろうか?

これまでの人生で手にしてきた知識や経験をフル動員して、そんな空想の世界であれこれ想像したり解釈することって、知的好奇心が刺激されることこの上ない。

バケネズミひとつとってみても、読者の数だけ、あのメタファーの解釈の仕方があるだろうから、中には拒絶感がある人もいるかも知れないけど、きっと何かを感ずるができる物語です。そんな作品はなかなか見あたりません。

それにしても、この世界観を生み出した貴志さんの想像力ってすごい。今から1000年後って、普通に考えたら、恐ろしくテクノロジーが発達した世界で、クリーンで無機質な生活を営んでそうでしょ?それが明治の後期程度のローテクで、牧歌的な山間に暮らしてる。でも、超ハイテクな図書館が出現してみたりする。そこに至る現代からの歴史、その歴史から学んだ1000年後の倫理観。想像だけじゃなくて、そこにリアリティを与える知力とも相まって、ただただ感嘆するばかりです。

そして、ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』の第2楽章から生まれた『家路』にまつわるエピソード。あぁ泣けてきた。奇狼丸にも。

これだけ書いても感動したことの10%くらいです。ぜひその手に取ってみてください。
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by dlynch | 2008-04-19 23:44 | book
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