ブログトップ

cinema and book

killbill.exblog.jp

ヘーメラーの千里眼

e0012194_23185723.jpgもう、岬美由紀はスペースシャトルにでも乗って、ナメック星でサイヤ人と対決するしかないなあと思っていたら、本作では過去のエピソードを織り交ぜた本格派(これまでが本格派だったわけじゃないんだけど)のサスペンスに華麗に変身。文体の格調もあがってます。

強大な悪を倒すために、一度どん底に落ちた主人公が決意とともに立ち上がるといったマンガ的な要素も薄く、リアルな物語を楽しめました。そういえば、臨床心理士色も、これまでの作品に較べると薄まってます。

ところどころで登場人物の口を借りて語られる社会風刺にも膝を打つようなセリフがあって、「癒し」について美由紀が語る言葉には思わず頷いちゃいました。ある意味、理想的な政治家として登場する亀岡書記官の最後の見せ場は、クサイといえばクサイんだけど、微笑ましくてお気に入り。

自衛隊賛美の小説と受け取るのは簡単だけど、綿密な取材を重ねた松岡さんの目を通した自衛隊がこの小説では描かれていて、自衛隊という組織とは別に、自衛官という人がいるんだということに、この小説で初めて気づかされた気がします。

というわけで、いつになく背筋を伸ばしてくれるシリーズ9作目の『ヘーメラーの千里眼』
秋の夜長にお勧めです。
[PR]
by dlynch | 2005-09-05 23:31 | book
<< モンスター コラテラル >>