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しゃぼん玉 | 乃南 アサ

e0012194_219429.jpg久しぶりの乃南アサは『しゃぼん玉』。暇つぶし的に読み始めたんだけど、これがおもしろい。読み終えたときはなんだか晴れ晴れした気分になりました。

帯の裏にあるように今どきのキレた若者が登場したときには(こいつが自分本位なヤツで実に腹立たしい)『さまよう刃』のように読了後にずーんと来るような重めの話を想像し、方言がきついおスマじょうと出会ったときには宮崎駿のようなファンタジーを想像したんだけど、実はとてもオーソドックスな人間再生のお話です。

もう人生の半分を東京で過ごしていて、でもまだまだ東京の豊富な情報量やスピード感を楽しめてはいるもの、日々の生活だけで疲弊してしまうのも事実で、実家に帰って虫の音しか聞こえない夜を過ごしているとこれが本来の人の生活だなとも思ってしまう。自分の場合、幸せだったのは入道雲と蝉時雨、オニヤンマの夏や稲刈りが終わった田んぼを飛び交うアキアカネの秋を実体験してから、いま都会にいるということ。東京で幼少期-青年期を過ごしてしまうと、夏ってただジメジメするだけの不愉快な季節にしか感じられないかも知れない。

話が脱線してしまったけど、「だから埼玉」で複雑な家庭環境を背景に過ごして来た翔人が、宮崎県は椎葉村のおスマじょうやシゲ爺と触れあうことで再生していく姿がなにやら眩しく、その村人たちの絶妙な距離感が心地よく、その距離感をさらっと描いている乃南さんの筆がこれまた絶妙なんて分析していたのも最初だけで、いつの間にか物語りに没頭し、最後の翔人の姿の凛々しいことったら。

誉めてくれる人、支えてくれる人、背中を叩いてくれる人、叱ってくれる人って大切だよね。
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by dlynch | 2008-07-04 21:09 | book
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