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東京奇譚集 | 村上 春樹

e0012194_11352610.jpg今回の出張のテーマは読み返し特集ということで、次は『東京奇譚集』です。新刊で読んでから約3年という間隔なので、全体的な印象は変わらないものの、改めて読み返してみると『スプートニクの恋人』でそれまでの棚卸しをして、『海辺のカフカ』で再構築して、『アフターダーク』で実験して、『東京奇譚集』で遊んでみたって感じでしょうか。いい具合に肩の力が抜けてます。

一人称で語られる「偶然の旅人」にはハルキストの鼻の穴を広げるようなテイストが残っているものの、「ハナレイ・ベイ」の若者言葉や「どこであれそれが見つかりそうな場所で」のメリルリンチは今までにはなかった作風。古いファンはぜひ読みましょう(ファンならもう読んでますよね)。

お気に入りはやっぱり「品川猿」。とくにみずきが猿と対面してからの会話と展開が絶妙。猿、みずき、カウンセラー、土木課長、桜田くんのそれぞれの発言がおかしくて、やけに丁寧で古めかしい猿は言うまでもなく、土木課長と桜田くんの発言が劇団のコントを見てるようにおかしい。最後にはきっちり物語を締めてるし、短編の傑作です。これをベースに長編を書いて欲しいなぁ。
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by dlynch | 2008-07-20 11:36 | book
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