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彗星物語 | 宮本 輝

e0012194_2333289.jpgあらためて宮本輝の少し前の小説を読んでみると、一歩引いた目線で淡々と情景を描写してるのに、行間からは妙に人間くさい印象を受けます。一つは関西弁だからだと思うんだけど、その辺はどうなんでしょう?ぜひ関西人の感想を聞いてみたいところです。もう一つは、こっちが肝心なんだけど、人の嫌なところもきちんと描いているからだろうなと。人は、日常的に失敗や行き違い、ときには誰かを妬んだりするもんだけど、小説になると意外にこの辺が描かれない。もちろん、ミステリーではそこが軸になるんだけど、どうしても劇場仕立てになってしまうので、日常からはかけ離れた印象になっちゃう。

そんなわけで久方ぶりの『彗星物語』。ハンガリーからの留学生であるボラ助を迎えた城田家の家族物語です。12人+1匹のキャラが立っているのがなんといってもいい。なかでも福蔵さんとフックの存在感が際だってます。フックの飼い方はいまの常識からすると良くいえば大らか、悪くいえばいい加減なんだけど、ま、そこは目をつぶっておくか。10年以上前の話だしね。

家族として迎えられたボラ助(命名は福蔵さん)を含め、全員が本音で接しているのが、見ていて羨ましい。文化や世代、状況による価値観の違いがあるのは当然で、そこら辺りを包み隠さず丁寧に描いているから感動するんだろうなぁ。最近、叱れない上司が問題になっていて、愛と論理で叱れば部下は聞いてくれるなんていいますが、最後の方でボラ助が晋太郎に叱られるシーンには論理はまるでなくて、それがなんだか痛快です。愛がたっぷりあればいいんだよね(でも、これは会社では通用しないか)。最後は愛犬家には反則です。

「さぁこれからだ」いい言葉ですね。
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by dlynch | 2008-08-13 00:00 | book
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