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カテゴリ:book( 133 )

アディダス、ナイキで学んだ仕事術 | 半田 裕

e0012194_0335820.jpg17年ほど前のワタクシの就活先はクルマかアパレルかスポーツ関係であること。それなりにマジメだったはずなんだけど、なんと節操のないことか。そして、その全てを満たすとある商社に決まったのはいいんだけど、なぜか配属されたのは電子情報部という?な部署。それが今のキャリアに繋がることになるんだから、人生ってホントに分かりません。

あの頃、希望通りHEADやラコステに配属されてたら、今頃なにやってたんだろう?もしかしたら、同期や後輩のようにスポーツメーカーに行っていたかも知れない。なんて考えると『アディダス、ナイキで学んだ仕事術』でも読んで隣の芝をちょっと覗いてみるかなんて気持ちになるわけです。

これまでに一般消費者を相手にしたビジネスをした経験はないので、誰もが知っている長野オリンピックに関わったエピソードやロナウドなんて名前が出てくると、羨ましいなぁなんて思わないことはないけど、半田さんが書かれてる仕事術はどの業界にも共通する大切なことばかり。業界こそ違えど、やっぱりこういうことが大切なんだと再認識しました。ITだ、モバイルだといっても、所詮は道具。大切なのはFace to Faceのコミュニケーションと地道な活動、そして情熱なのですよ。

誰か別の人も紹介していた、とあるチャンスの例え話。あれよく分かる。チャンスをチャンスだって認識できなかったら、チャンスもチャンスじゃなくなっちゃうんだよねぇ。
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by dlynch | 2008-04-18 00:39 | book

ヌフカフェはなぜ潰れないのか? | 武田康伸

e0012194_17275342.jpg(カフェではなく)喫茶店のマスターって憧れませんか?アンティークの重厚な店内の奥で、コナ島から取り寄せた焙煎豆にポコポコとお湯を注ぎ、信楽焼のカップにコーヒーを淹れ、お客さんと映画の話をするようなそんな感じのを。ときどき美しく成長した娘が手伝ってくれたりして。あ、これは妄想(笑)

でも、一方でカフェをビジネスとしてとして捉えた場合、原料にこだわり過ぎると収益率が下がるし、居心地が良いと回転率は下がる。客単価が1,000円だとして、50人に来てもらっても、1日の売り上げは5万にしかならない。実際、消えちゃったカフェはたくさんあるし、経営的にどうしてるんだろう?

そんなときに本屋で見かけたのが『ヌフカフェはなぜ潰れないのか? 』neuf cafeのことは知らなかったけど、Huitは店内にわんこが入れることもあって、お気に入りのカフェの一つ。そんなカフェの経営者の視点は、実は通常のビジネスと全く同じで、キーワードにすれば、信念と柔軟性、感性、コミュニケーション、差別化、スピード感、そして熱意。もっともこれらを実行し、実現することは簡単なことではないけれど、大切なことってどこでも同じだなと。

ところで、これは知り合いのD&DEPARTMENTの成り立ちとも共通するんだけど、店舗をスタッフ自身が作ることって、単なる愛着以上の効果があるみたい。汗をかくことってやっぱり大切です。
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by dlynch | 2008-04-13 17:27 | book

新世界より(上) | 貴志 祐介

e0012194_0165191.jpgやばいくらいにおもしろすぎる。気がつけば夜中の3時になってる。もう寝なきゃと思うのにページを捲るのを止められない。貴志祐介の新作『新世界より』です。ブログでちょこっと検索してみたら、やっぱり話題になってるみたいですね。

新刊が出たら即効で買うと決めている数少ない作家の一人なので、本屋で見かけたときは中に目を通さず、498pの分厚いハードカバーなのに全く躊躇せず、値札も見ないでレジに持って行ったわけですが、うーむ、おもしろすぎる。何度でも言っちゃう。おもしろい。

詳しい書評は下巻を読み終えてからにするとして、今おもしろいと感じてるのは、その圧倒的な想像力と想像にリアリティを与える知識力、格調の高い文体と用語。今から1000年後の世界なんて想像もつかないでしょ?それが途轍もないないイマジネーションの中で語られてる。

小説って楽しいなぁと思える真っ直中に今います。
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by dlynch | 2008-04-09 00:21 | book

真夜中のマーチ | 奥田 英朗

e0012194_1648020.jpg最近、奥田さんの小説を読むことが多いなぁと思っていたら、もう6作目なのね。いい意味で軽めの内容、読みやすい文体、スピーディな展開、適度なユーモア、心地よい読了感が、その魅力だと思ってるんだけど、『真夜中のマーチ』もその期待を裏切りません。

3人の主人公たちは、テレビや映画にありがちなキャラではあるけど、3つに分けた章の中で、それぞれの目線でほかの2人を評したり、自分自身を語ったり、騒動を捉えたりするところが小説的で楽しい。ファッションやクルマの趣味でキャラを表する演出も楽しい。ミタゾウのセンスに対する2人の突っ込みが楽しい。そんなミタゾウが冴え渡るシーンが楽しい。ヨコケンが意外に純情なのが楽しい。クロチェのクロチェらしさが楽しい。そんな楽しいが満載で、いつものとおり読了後にはいい気分になること請け合いです。

25歳。青春の最後だなぁ。
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by dlynch | 2008-04-06 16:56 | book

アイズ | 鈴木 光司

e0012194_23293696.jpg鈴木光司さんといえば、かの『リング』『らせん』のせいで、ホラー作家と認知されているようで、この『アイズ』の帯にも「このおぞましい恐怖から、あなたはもう逃れられない!!」なんて、いかにもマーケティングなメッセージがご丁寧に太めの明朝体で強調されてますが、彼ってホラー作家なのかな?彼が描いているのはオカルト+ファンタジー。竹内薫さんが解説されてるようにまさに「現代の怪談」だと思うんだけど。

短編を書かせるとその作家の力量が分かると言われるけど、その意味では8つの短編はどれもとっても優れてる。絶妙のタイミングでキリッと終わって、余韻は残すけど、謎は残さない。ニヤリと思わせてみたり、ざまあみろと思わせてみたり、ホッとさせてみたり、ウゲッとさせてみたり、ほんわかさせてみたり。作品によって異なる読了感を感じられるのは短編ならではの楽しみ。ほどよい不気味感も日常から少し離れられるようで、日常の極みのような通勤電車が楽しくなります。

個人的に好きなのは『しるし』。謎の人物の正体と個々人のしるしの捉え方が好き。
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by dlynch | 2008-04-05 23:29 | book

GTroman | 西風

e0012194_23474536.jpgクルマに興味のある人、なかでもジュリエッタとかMGとか"R"とかアルピーヌとかコブラとか、そんなキーワードにぞくぞくできる人だけが楽しめるコミックがこの『GTroman』です。

いまから20年ほど前の地方の男子学生の最大の関心といえばクルマで、『頭文字D』のように峠に命をかける系から、見た目最優先のクーペ系、これ見よがしな改造が好きなヤンキー系、お金持ちお坊ちゃんの外車系、そして、クルマいじりが好きでクラシカルな外観に惹かれるエンスー系に大別されてたと思うんだけど、そのエンスー系のバイブル的な存在だったのが、1988年に第一刷が発刊されたこのコミックなのです。

その独特の作画はけして巧いとか綺麗ではないし、物語の展開にも台詞運びにもどことなく野暮ったい感じがして、井上雄彦さんのような圧倒的な完成度を誇る作品の対極にあるようなコミックなんだけど、オイルが焼ける匂いやエキゾーストノートが聞こえるような気がして、なんだか不思議な魅力があるんだよねぇ。今でもときどき本棚から引っ張り出して読むこのコミックをなんとなくAmazonで検索したら、なんと完結編が出てるじゃん!ファン納得の終わり方です。

でも、あとがきを読んで、あぁでもあの時代は終わったんだなぁともちょっとしんみり。だって、西風の息子が「ATで、オデッセイとか・・<中略>・・ステージアとか何でも良いけど、クルマ買って」って・・。そんなのあり?
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by dlynch | 2008-03-28 23:57 | book

不自由な心 | 白石 一文

e0012194_0241571.jpg前に読んだ『見えないドアと鶴の空』では、Amazonで言えば星1つくらいのコメントを書いたのに、習性とは恐ろしいもので、そんなことはすっかり忘れて『不自由な心』を手に取ってみましたが・・

残念ながら、短編で構成されるこの作品で描かれていることも、小難しい理屈を振りかざしながらも、結局は自分のことしか考えられず、連れ添っているヨメさんどころか、愛人のことさえもちゃんと考えることのできない、身勝手で、だらしのない男たちだけで、その他者と真摯に向き合わない態度には、正直むかっ腹しか立たず、とっても不愉快。

あとがきで作者自身が述べているように、5つの作品の連続性をつなげてみても、この不愉快さは変わらず。これだけ人を不快にさせる小説ってのも、それはそれで貴重ではあるかも知れないけど、せっかくのフィクションの世界で物語を楽しめないってのは、ワタクシ的にはNG。これでもう読まないと誓った作家の二人目にめでたく?ノミネートです。
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by dlynch | 2008-03-27 00:32 | book

チーム・バチスタの栄光(下) | 海堂 尊

e0012194_20574496.jpg下巻に入ってすぐ、厚生労働省から派遣された調査官という触れ込みで白鳥という新キャラが登場しますが、阿部ちゃんはこちらでした。作品内でロジカルモンスターというあだ名が与えられているとおりの奇人変人で、『空中ブランコ』の伊良部を攻撃的にした感じ。『TRICK』の上田次郎ともかぶります。

この白鳥が出てきてからは、さらに話が漫画的に展開するので、気軽に笑いながらミステリーを楽しめるという点では評価するんだけど、個人的は底が浅い感じがしてしまう。謎解きも動機も「ああなるほどふーん」とさして驚くこともなく、最後も漫画的な大円団だし。田口先生の名前の由来の聞き取りには事件と結びつくひねりが欲しかったな。

でも、旅行に携えて行くにはピッタリの小説。白鳥の快刀乱麻な取り調べやもったいつけたセリフ回しのおもしろさには移動時間を忘れます。誰かに『チーム・バチスタの栄光』って面白い?って聞かれたら間違いなくオモシロイとお答えします。
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by dlynch | 2008-03-22 20:57 | book

チーム・バチスタの栄光(上) | 海堂 尊

e0012194_23591477.jpgどの本屋にいっても『チーム・バチスタの栄光』が平積みされているので、さすがに気になって読んでみました。映画化の戦略に巧く乗せられているだけとも言いますが。

で、その上巻。謎がありスリルありなかなか面白い。肩のチカラが抜けていそうで、実は相当書き込んでいるんじゃないかと思われる文体も面白い。

とくにいい感じなのは田口先生のキャラと医療に対する姿勢かな。外科医の最高峰的に描かれるチーム・バチスタの対極にあるような、地味な神経外来の出世欲が全くない万年講師が、なんのかんのいいながら丹念に丁寧に事件を調べていく様が漫画的で楽しい。きっと、とぼけたふりをしているこいつが後半から切れ味のある推理を披露するに違いないと読み進めていたわけですが、下巻でこの浅はかな予想は見事に裏切られるのです。

えっ?阿部ちゃんが桐生先生じゃないの?下巻に続く。
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by dlynch | 2008-03-17 23:59 | book

最悪 | 奥田 英朗

e0012194_13204377.jpg「他人の不幸は蜜の味」という言葉があるように、不謹慎ながら自分に関係のない第三者の不幸は基本的におもしろいものです。それが小説のような架空の世界のことだったらなおさら。『最悪』では、零細下請けの社長とOL、ちんぴらの三者三様の不幸せに落ちていく姿がこれでもかってくらいに悲惨に描かれていて、可哀想になる前に笑っちゃう。

それにしてもよくもまぁやることなすこと裏目裏目に出てしまって、転げ落ちていく他人の人生を描けるもんだと感心しちゃう。しかも、読んでる方の気分が悪くならないぎりぎりの線で抑えられるってのはすごい。自分に置き換えたら、立ち直れないくらいの悲惨な話なのに、思わず笑っちゃうのは間違いなく奥田さんの筆力。彼が描き出す物語にはどれもユーモアが溢れてるんだよね。ただし、この作品の場合はブラックユーモアだけど。

3人がそれぞれの事情を抱えて、とある場所で居合わせたことで引き起こる急展開。怒濤の展開の中でも、お涙あり、男気あり、悲哀あり、最後には鮮やかな幕引きへと繋がるのは、ここに至るそれぞれの経緯を丁寧に描いてきたからこそ。ここを細切れに読んじゃうとおもしろさ半減なので、最後の100ページは一気に読みましょう。

昔から理屈っぽいと言われることの多かったワタクシからすると、川谷を追い詰める太田に自分を重ねちゃって、ちょっと複雑。論理を振りかざすのはほどほどにしなきゃ。
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by dlynch | 2008-03-10 13:29 | book