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ナイロビの蜂 | フェルナンド・メイレレス 

e0012194_14491653.jpgケニアに舞台を移した『サハラ』的なラブロマンス&サスペンスだと思ってた『ナイロビの蜂』は、重厚な社会派サスペンス&大人のラブロマンスでした。タイトルとポスターだけで先入観持っちゃだめですね。

劇中にもその名が登場する国境なき医師団に僅かながらの募金をしてるんだけど、確かに現地での実態はこんな風なのかも知れない。そこでビジネスが成立するとなれば、国や企業が容赦なく利権を争う。純粋なボランティア精神が穢される様子には、フィクションとはわかっていても、むかっ腹が立ちます。そういう意味ではビル・ナイの不気味さとドキュメンタリーのようなカメラワークはすばらしいなぁ。

一方で、テッサのちょっと破滅的で激しい愛とジャスティンの常識的で物静かな愛のラブロマンスが物語りの重要な柱になっていて、後半のジャスティンの行動力に繋がっていきます。そして、あのラスト。予測はできた展開だけど、直接的に見せないその演出がこれまたすばらしい。完成度の高い映画です。
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by dlynch | 2007-08-31 14:49 | cinema

ウルトラヴァイオレット | カート・ウィマー

e0012194_0204662.jpg近未来SFの悪いところを集めて再編集すると『ウルトラヴァイオレット』になります。

先走りすぎてるのか、端折りすぎてるのか、アクションを見せたいからないのか、とにかくなにがなんだかさっぱりわからない展開。結局、ファージってなんだったんだろう?台詞ではヴァンパイヤと言ってるのに、テロップではいつもファージだし、テロップではファージと呼ばれる人たちの犬歯は尖ってるのに。

そして、なぜだか髪やコスチュームの色が変わるミラ。色が変わる理由の説明は一切なし。突然、手から沸いて出てくる武器の説明もなし。序盤こそ、そのチープなVFXが楽しかったアクションシーンもいつもいつも同じパターンで途中からげんなり。四方八方を塞がれ絶体絶命のヴァイオレットがあっという間に敵をなぎ倒すパターンは何回出てきただろう。

ミラ・ジョヴォヴィッチの見事な腹筋を眺める以外の楽しみ方をご存じの方は、ぜひご一報を。
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by dlynch | 2007-08-26 23:59 | cinema

シャーロットのおくりもの | ゲイリー・ウィニック

e0012194_2330245.jpg予告編だけでこれは感動するに違いないから観ようと決めていた『シャーロットのおくりもの』。想像していた感動とは違ったけど、しみじみとハートウォーミングなファンタジーでした。

ダコちゃん演じるファーンと子ブタのウィルバーの距離感の変化がいいなぁ。子供にとって、ペットはペットとしてかわいいんだけど、そろそろ異性を意識し始めるお年頃でもあるし、その辺のファーンの心境の変化がダコちゃんの演技力もあってかわいらしい。

原作は読んでないけど、ファンタジーの主役とは縁遠そうな蜘蛛と豚の友情物語って着眼点がすごい。そして、すばらしいCG。シャーロットの表情なんて、蜘蛛がホントに喋ってるようにしか見えないもんね。ジュリア・ロバーツの静かなトーンも華を添えて、それは見事でした。これから観る方はこのキャラ誰が声優なんだろうって、考えるのも楽しいです。

何気にオープニングとエンディングのアニメーションがすてきで、サウンドトラックもよかったし、子供になってもう一度観てみたい。
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by dlynch | 2007-08-21 23:38 | cinema

日本沈没 | 樋口真嗣

e0012194_2229767.jpgまあまあ。それ以上でもなければ、それ以下でもなし。休みの日におしゃべりしながら観るのがちょうどいい映画。それが『日本沈没』です。

最大の失敗は突っ込み過ぎなところ。美咲ちゃんを含めたひょっとこのエピソードはいらないと思う。その分、パニックぶりや政治関係に時間を割けば緊迫感が出るし、もしくは小野寺と玲子に割けば恋愛映画として成り立ったのに。でも、たとえ恋愛映画でいったとしても、あの主題歌がかかるシーンの演出だけは勘弁。いいところなのに興ざめしちゃった。

これはヨメの指摘なんだけど、『アルマゲドン』『デイ・アフター・トゥモロー』のようなハリウッドの同種の映画と較べると、きまじめ過ぎるんだよねぇ。「あなたには心があるから」と説得されて大臣になるなんて、嘘くさいししらけちゃう。もっとも、それで説得されて大臣になった大地真央さんはとてもステキでした。

パニック映画なんだから、もっとドキドキハラハラさせて欲しかったぁ。
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by dlynch | 2007-08-19 22:39 | cinema

塩狩峠 | 三浦綾子

e0012194_2252953.jpg『塩狩峠』は自分にとって文学の原点のような作品。大げさではなく、生き方が変わった1冊。

主人公の信夫は「明治の御代になって、世は軽佻浮薄だというが、あいつはどうしてどうして」と上司から評されるんだけど、昭和から平成に移るバブル期に大学生活を送っていた新人類にしてみれば、世はさらに比較にならないくらい軽薄になってるわけで、何事にも全身全霊で取り組み、真剣に考え抜く信夫の姿勢は衝撃的でした。

自分自身を自ら律するというのもこの本から学んだこと。誰かに見られてるからとか、世間がこうだからとかじゃなくて、自ら考えて、自ら判断して、自らその判断に従う。初めて読んでから20年以上経つけど、それは今回読んでも変わらなかったなぁ。そして、信夫には到底追いついてない。

三浦綾子さんはクリスチャンなので、彼女の作品にはキリスト教が深く関わってます。とくに『塩狩峠』はその傾向が強いので、ともすれば胡散臭さや気味悪さを感じてしまうかも知れないけど、それもエピソードの一つだと捉えて読み進めれば、こんなに教えられる小説って、そうそうないと思うのです。
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by dlynch | 2007-08-18 22:18 | book

クリムゾンの迷宮 | 貴志祐介

e0012194_0081.jpg初めて『クリムゾンの迷宮』を読んだのは7-8年前かな。出張先の待ち合わせ場所だった住道駅のロッテリアで読み終えて、半ば放心してたのを良く覚えてます。

題材も舞台も設定も何から何まで異色。Amazonで「戦慄の新感覚ゲームノベル」と紹介されているのがピッタリのちょっと変わったミステリー。本作のベースともいえるゲームブックには、実は中学生の頃にはまったことがあって(ザナドゥとかイースとか好きだったし)、ベッドの中でドキドキしながら、逃げるなら112へ、戦うなら523へって楽しんでたもんです。

ここで描かれているのはある意味究極のRPG。先がどうなるか気になって、主人公がどう乗り切るか気になって、あいつらどうなったんだろう?コイツは何隠してるんだ?って、そりゃもうドキドキハラハラです。何度読んでもホントに面白い。ヒトってほんとにあんなんになっちゃうのかねぇ。

キワモノともいえる題材なのにバカバカしくも子供っぽくも感じないのは貴志さんの筆力なんだよな。文章が格調高くて、ピリリとした絶妙な会話のやりとりがあったりして、4度目の今回はそんなところも楽しめました。

貴志さん、次の作品はいつですか?
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by dlynch | 2007-08-15 00:12 | book

グレート・ギャツビー | スコット・フィッツジェラルド | 村上春樹 訳

e0012194_23412499.jpg敬愛する村上春樹をして、「『グレート・ギャツビー』がすごい作品じゃなくて、ほかの何がいったい「すごい作品」なんですか」と言わしめる作品だし、アメリカ文学を代表する作品だとも言われているので、相当に背筋を伸ばして、ストーリーを追わないように一行一行噛みしめるようにして読んでみました。

正直なところ、第二章までは苦行。村上春樹といえども訳文独特のリズムにどうしても乗れず、時代背景や土地柄、人物関係がなかなかつかめず、まるで大学生が宿題に与えられたテキストを読むようにじりじりと読んでたんですよね。

それが第三章に入って、ギャツビーの過去がぽつぽつと語られるようになってからようやく「入り」はじめ、気がつけば終章。あっという間に読み終えたという感じではなかったけど、没頭してからは一言一言読むのが楽しかったなぁ。

現代の日本人の感覚からすると分かりづらい箇所も多いけど、ここで描かれているのは普遍的な恋愛。男が女を愛するってことのね。男子としてはギャツビーの生き方にはものすごく共感できるし憧れる。文体の方は慣れてしまえば、やっぱり村上春樹なので、独特の文章のつなげかたやリズム、比喩が楽しめます。ここはフィッツジェラルドがすごいのかな。

こうなると他の翻訳も読んでみたいし、いつか原作も読んでみたいねぇ。「ただある程度英語ができればわかる、というランクのものではない」らしいけど。
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by dlynch | 2007-08-13 23:41 | book

4TEEN | 石田衣良

e0012194_211029.jpgここのところ乱読気味です。今度は石田衣良に手を出してみました。読んでみたのは直木賞を受賞した『4TEEN』

題名の通り、月島に住む14歳の4人の少年たちが織りなす青春小説なわけだけど、14歳であること、4人いること、月島であること。この設定がいいですね。

大人の第一歩って、だいたいこれくらいの年からやってくる。性とかお金とか他者との比較とか独立心とか。この辺りとの距離感に4人の少年たちにそれぞれ特色があって、3人でもなく5人でもないところで巧くバランスがとれてる。そんな彼らが新旧の文化が入り交じる月島を自転車で駆け回ってるって考えただけでワクワクしません?

中学生にしては大人びた考え方をしてるし、行動力もあるし(今どきの14歳はこんなもんなんだろうか?)、物語には新聞沙汰になりそうなエピソードが引用されているんだけど、読了後は不思議に穏やかで爽やかでノスタルジックな気持ちになります。あぁあの頃に戻りたいなぁとネクタイを緩めたのはボクだけじゃないはず。
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by dlynch | 2007-08-12 21:01 | book

ワールド・トレード・センター | オリバー・ストーン

e0012194_014211.jpg9.11の2年後にNYに行く機会があったので、グラウンド・ゼロに足を運びました。摩天楼の谷間にぽっかりと空いた広大な広場。道路向かいのスタバからフェンスに囲まれたその空間をただ眺めてました。何かを考えることはできなかったですけど。

『ワールド・トレード・センター』を映画としてみた場合は、主役の二人は瓦礫の下で身動きがとれず、ただ励まし合うだけ、合間に安否を気遣うお互いの家族の模様が描かれる、ただそれだけなんだけど、この映画を観るほとんどの人の脳裏にはあの白煙を上げながら崩れ落ちる世界貿易センターのニュース映像が焼き付いているだろうから、どうしても感動したねとか面白かったねでは済まされないものを感じちゃう。煽るような過剰な演出じゃなかったことが余計にそう感じさせるんだろうな。

この作品を観てると、9.11はアメリカ人にとっては本当にショッキングな出来事だったんだってことがよく分かる。当たり前の日常が理不尽な暴力で無理矢理に損なわれちゃったんだもんね。そしてぽっかりと空いてしまったあのだだっ広い空間。テロはダメだって当たり前のように思うし、そんなときこそ人と人のつながりが大切なんだって当たり前のことを思うのです。
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by dlynch | 2007-08-11 23:00 | cinema

千里眼 ファントム・クォーター | 松岡圭祐

e0012194_23113921.jpg帰国して1週間以上も経つのにまだシアトル編です。ラッキーなことに行きの飛行機では修学旅行生と乗り合わせたためにビジネスにアップグレードしてもらってぐぅぐぅと寝られたものの、2度もラッキーが続くわけもなく、帰りは狭っ苦しいエコノミーで読書とウトウトとDVDの繰り返しでした。そんなときはやっぱりこれ。『千里眼 ファントム・クォーター』です。

中盤のRPG風なゲームは、大好きな『クリムゾンの迷宮』には及ばないものの岬美由紀らしい度胸と博識ぶりと武道と超能力(それなりに科学的な裏付けはあるけど)で乗り切ってしまう爽快さはこのシリーズならでは。ユベールにはもうちょっと活躍して欲しかったな。厳島さんはやっぱりあの人がモチーフなのかね?

前作もそうだったけど、今作もラストがあっさりさっぱりし過ぎてて、その意味ではねちっこいまでの展開を見せた前シリーズの方が好きかな。せっかくシリーズが変わったんだから、セブン・エレメンツのコンサートには最後まで女の子らしくきゃーきゃー騒いで欲しかったし。『千里眼の水晶体』は次のフライトまでとっておこっと。
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by dlynch | 2007-08-08 23:20 | book