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ダークナイト | クリストファー・ノーラン

e0012194_23472657.jpgなんと前作の『バットマン ビギンズ』から3年も経ってたんですね。今年一番の映画に巡り会いました。その名は『ダークナイト』。バットマンシリーズ最新作です。でも、タイトルにバットマンの名はありません。

そもそもクリストファー・ノーランが監督になってからのバットマンシリーズは、アメコミヒーローというよりも、異能のヒーローを主人公にしなければ成り立たないヒューマンドラマを描こうとしてるので、闇の騎士というタイトルの方が相応しいのかも知れない。バットマン自身が特殊能力を身につけてるわけじゃないのが、ほかのヒーローとは異なるところ。資産家であることを生かして、鍛錬とハイテクで武装してるだけだからね。いわばボランティアで夜な夜な悪を懲らしめることが本当に正しいことなのか?逆に悪を生み出しているのでは?その苦悩が実に痛々しい。そして、アルフレッドとルーシャスの大人なサポートがとてもステキ。

ブルースのその苦悩が痛いほど伝わるのは、ヒース・レジャー演ずるジョーカーの存在。話し方といい表情といい雰囲気といい振る舞いといい、完璧に人格が破綻してる。そして、体感温度が下がるくらい怖い。ダントのトゥーフェイスが余計に思えるくらい見事な演技でした。ご冥福を祈ります。

暗いトーンの中にも、バットモービルはじめ男の子心をくすぐるギミックもあり、トータルとしてすばらしい映画です。まだ観てない人はぜひ映画館で。
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by dlynch | 2008-08-31 23:47 | cinema

本は10冊同時に読め! | 成毛 眞

e0012194_065751.jpgちなみに著者の成毛さんは今の勤務先の元社長。かぶったことはないけど、元社長がどんなことを書いてるんだろうと興味を持って、『本は10冊同時に読め!』を手に取ってみました。1回のランチで読めちゃうくらいの文量です。

彼が勧めている超並列読書術って、いまビジネス書でベストセラーの勝間さんの読書の仕方と似てますね。ベットサイドとかトイレとか、すき間の時間ができそうなところに本を配しておいて、平行して読み進める。ジャンルはバラバラ。「短い時間にその本の趣旨や世界観をつかもうとするので集中して読める」と説いてるんだけどホントにそうかなぁ。1冊の本に集中しないと趣旨や世界観は掴めないと思うんだけど。

行列のこととか、お金で時間を買うこととか、本に関係のないところでは共感できるところがあったものの、肝心の本に対する姿勢は、情報を得ておかないと庶民で終わっちゃうよ、成功者にはなれないよという浅ましくて貧しい発想から来ていることが分かった時点でがっかりしてしまいました。彼が言うところの「本」とはノンフィクションのことで、「ほとんどの文学作品は読む価値がないと思っている」そうです。そういう感受性に欠ける人な訳です。

論理的な破綻も多く、ハウツー本を貶しておきながら見事にハウツー本になっている矛盾、それだけの読書量にも関わらず、知性も品位も感じられない文体。もうがっかり。マキャベリをまんま実践するような社長の下で働くのはやだなぁ。
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by dlynch | 2008-08-30 23:06 | book

ウランバーナの森 | 奥田 英朗

e0012194_23445581.jpg偶然にもちょうどお盆の頃に『ウランバーナの森』を読んでました。お釈迦様の弟子の目連が餓鬼道で、逆さ吊りの苦痛に苦しんでいる母親を救おうとお釈迦様に相談したところ、僧侶の修行が終わる7月15日(旧暦)に、その僧侶たちに供物を捧げて供養しなさいと教えられて、ようやく救うことができたそうですが、その苦痛のことをサンスクリット語でウランバーナ、中国でこれが訛って盂蘭盆会(うらぼんえ)となり、さらに日本で簡略化されてお盆となったんだそうです。

この小説では、このお盆のオリジナルエピソードとジョン・レノン&オノ・ヨーコの軽井沢での生活が下地になってます。処女作なだけに、文体にも展開にもやや荒さが見られるものの、奇想天外な発想とそれを楽しんでみるかと思わせる、明るくて軽い文章は後の作品群に繋がってくることがよく分かります。

ただ、タオさんとジョンのやりとりを除くとあんまり好きではないかな。奥田さんのジョン・レノンへのトリビュートが強すぎて、読者である自分のイメージと衝突するのでどこかでわだかまりが残っちゃって楽しめない。あとがきで「彼を特定する固有名詞を出さなかった」としてるけど、ブラインとかキースとか出てきたら、どうしても「レノン」をイメージしちゃうでしょう。

ビートルズを知らないとそれはそれでおもしろくない気がするし、知ってると先入観が邪魔しちゃうし、この小説をおもしろいと思えるのはどんなタイプのひとなんだろう?
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by dlynch | 2008-08-29 23:43 | book

ブラッド・ダイヤモンド | エドワード・ズウィック

e0012194_22362740.jpg久しぶりに監督で選んだ作品です。エドワード・ズウィックといえば『ラストサムライ』が記憶に新しいところですが、『グローリー』や『レジェンド・オブ・フォール』もこれまたすばらしい映画で、骨太なドラマを撮らせたら随一。過去の作品の相性もいいので、期待して『ブラッド・ダイヤモンド』を観てみたら、期待をあっさり超えていきました。すごい映画だ、これ。

この映画を観ていなければ、ダイヤモンドはダイヤモンド、女性を飾る高価な宝石くらいの認識で、その存在が原産国では内戦を維持するための資金源となり、その確保のために強制的に労働力にさせられる人がいる。その課程では少年兵が生まれ、その利権が新しい内戦の火種になる、なんて想像をすることもなかったわけで、そんな社会的なテーマがエンターテイメントとして成立しているところがまずすごい。泣けるとはまた違う感動です。

そんな重いテーマを下地にしたアーチャーとマディの仄かな恋愛がこれまたよくて、余計に最後の会話が際だつ。ソロモンの家族愛もよかった。

そして役者。ディカプリオは『タイタニック』のせいで、アイドル的に持ち上げられちゃったけど、『ギルバート・グレイプ』を持ち出すまでもなく、やっぱり俳優としてすごい。動きにキレがあるし、迫力も存在感もある。巨匠と呼ばれる監督が使いたがるのがよく分かります。ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスーもよかったなぁ。すごいすごいの連発で久しぶりのDVD購入決定です。
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by dlynch | 2008-08-24 22:54 | cinema

ゲド戦記 | 宮崎 吾朗

e0012194_2243243.jpg「そういえばジブリで見てないのがあったはずだけどなんだっけ?」「えーハウルは観たし、そんなのあった?」と我が家ではすっかり忘れ去られていた『ゲド戦記』。酷評されていることは知っていたものの、希代の名作であるナウシカやラピュタのことがあるから、期待しちゃうんだよね。

そして・・「映画館に観に行かなくてよかったね」ヨメのこの一言が、この映画の全てを物語っています。どこからどう批判すればいいのか分からないくらいぐだぐだな作品です。

まず、ストーリーに謎だけを残しっぱなし。アレンはなぜ父殺しに及んだのか?なぜ影に怯えるのか?なぜあの宝剣を持ち去ったのか?(そのわりにアレンは無くしても、さして気にしてるわけでもなし)宝剣の由来は?テルーのあの痣のは?ハイタカの旅の意味は?ハイタカとクモに何があった?ハイタカなのになぜゲド?肝心要の骨子への説明がないまま話だけが進んでいって、ときどき青臭いセリフがあって、いつのまにやらいかにも悪役風のクモと戦って誰でも思いつくような展開で勝利して、エンドロールって・・。そもそもあのドラゴンはなんだったんだろう?

それに、興行のために俳優を声優として使うのはやめた方がいい。もしくは、声優としてちゃんと鍛えてから使うべし。何を喋っているのか聞こえないんだもん。それに、アレンとテルーなんて、V6と主題歌のことを知らなかったら、ただの素人にしか聞こえない。

唯一の収穫は、これの原作ってどんなにおもしろいんだろう?って気になったことかな。ところで、原作『ゲド戦記』、原案『シュナの旅』ってどういうことなんだろう?本作、最大の謎です。
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by dlynch | 2008-08-23 22:51 | cinema

麻布十番納涼まつり

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土日は雨降っちゃって残念ですね。金曜にたまっていた代休の消化がてら、一年ぶりの麻布十番祭りを楽しんできました。ぷらぷら買い食いを楽しむなら17-19時くらいがお奨めです。
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by dlynch | 2008-08-22 19:00 | photo

ゾンビーノ | アンドリュー・カリー

e0012194_23555389.jpg予告編が気にはなったものの、わざわざ劇場に観に行くほどでもなくて、すっかり忘れていた『ゾンビーノ』。TSUTAYAの棚にひっそりと置いてあるのを見かけて借りてみました。

「宇宙からの放射線の影響で死体がゾンビとなり人々を襲う事態が発生。しかしゾムコム社が開発したゾンビを従順にする首輪によって、地球に平和が戻った。それから数年後の小さな街ウィラード。ティミーの家でもペットとして最近流行のゾンビを飼うことに」

イントロからして人を小馬鹿にしてますよね。好きなだなぁこういうの。街中にはペットのように、あるいは奴隷のようにかしずくゾンビがフツウに歩いているわけですが、50年代のポップな色合いの家や車をバックに青々とした芝生の上をゾンビが歩いている様はなかなかシュールです。最初はこの調子で続くコメディになのかなと思っていたら、ファイドが隣のヘンダーソンさんを食べてしまった辺りからブラックな展開へ突入。そこはゾンビだからね。スタンダードな映画音楽をバックに人を襲うゾンビもこれまたシュール。ティミーくん、どうやって片付けよう?って困る前に人として怖がっておこうよ、そこは。

そこからはティミーくんのお父さんとお母さん(なんと、キャリー=アン・モス)、いじめっ子×2、隣のフェチなおじさん、ティムが思いを寄せる女の子のお父さんなど、どこか壊れた変人たちが織りなすブラックユーモアワールドで、ブラックさは最後まできっちりと続きます。命の尊厳なんて全く考慮されてないので、その辺を笑い飛ばせるかどうかがこれを楽しめるかどうかの分かれ道ですね。ちなみに「原題のFidoとは、英語圏においてペットの犬に対してつかわれる名前」だそうです。
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by dlynch | 2008-08-18 00:01 | cinema

UES

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1年のうち300日は履いているジーンズ。紆余曲折を経て、Levi's®のブーツカットだけを履くようになったのが10年くらい前のことで、以来、箪笥に入っているのは517ばかりだったりするわけですが、白金を散歩しているときにたまたま立ち寄ったKapitalで国産ジーンズを知って目覚めてしまいました。

どこかの雑誌のインタビューで、UES(=雑巾)になるまで履いて欲しいとコメントしていたことが頭に残っていて、代官山の裏通りにひっそりと佇む直営店にふと立ち寄ったときに自分たちのジーンズを愛して止まない店員さんの熱意にほだされてしまいスリムストレートを購入。この調子で一人一人に接客して商売になるんだろうか?とこっちが心配になるくらいの丁寧に応対してくれます。洗い方の講習もばっちり受けてきました。今日からこいつを育ててみます。

#ちなみに半年間は洗っちゃだめだそうです。「んー今年は洗わない方がいいですね」ってステキな笑顔で返されました。潔癖性な人には勧められない(笑)
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by dlynch | 2008-08-17 13:33 | fasion

ローグアサシン | フィリップ・G・アトウェル

e0012194_02745.jpg久しぶりのTSUTAYAで借りてきたのが『ローグアサシン』なわけですが・・・つまんなかった。観たのは1週間前だけど、もうあまり記憶にないくらい。

何がつまんないって脚本。たぶん、あの最後の謎解きを先に思いついて、そこから全体のストーリーを考えて行ったんじゃないかと思うんだけど、それにしてはローグの超人ぶりがなんだか中途半端で、クロフォードの相棒との接点が希薄。おまけにクロフォードがXXって、そんなエピソードの必要性はないと思うんだけどな。シロウとリーの確執も中途半端だし、要するに伏線の張り方がよくない。スタイリッシュっぽい映像も、ぽいだけでクールには感じられず。あと、ジェット・リーにマーシャルアーツをさせないのもどうかと思うぞ。

よかったのは久しぶりにジョン・ローンを見られたのと石橋凌の存在感かな。石橋さんは英語うまいし、日本語話せないデヴォン青木よりもどんどんハリウッド映画に出て欲しい。ケイン・コスギにはもうちょっと見せ場をあげて欲しかった。
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by dlynch | 2008-08-16 23:26 | cinema

彗星物語 | 宮本 輝

e0012194_2333289.jpgあらためて宮本輝の少し前の小説を読んでみると、一歩引いた目線で淡々と情景を描写してるのに、行間からは妙に人間くさい印象を受けます。一つは関西弁だからだと思うんだけど、その辺はどうなんでしょう?ぜひ関西人の感想を聞いてみたいところです。もう一つは、こっちが肝心なんだけど、人の嫌なところもきちんと描いているからだろうなと。人は、日常的に失敗や行き違い、ときには誰かを妬んだりするもんだけど、小説になると意外にこの辺が描かれない。もちろん、ミステリーではそこが軸になるんだけど、どうしても劇場仕立てになってしまうので、日常からはかけ離れた印象になっちゃう。

そんなわけで久方ぶりの『彗星物語』。ハンガリーからの留学生であるボラ助を迎えた城田家の家族物語です。12人+1匹のキャラが立っているのがなんといってもいい。なかでも福蔵さんとフックの存在感が際だってます。フックの飼い方はいまの常識からすると良くいえば大らか、悪くいえばいい加減なんだけど、ま、そこは目をつぶっておくか。10年以上前の話だしね。

家族として迎えられたボラ助(命名は福蔵さん)を含め、全員が本音で接しているのが、見ていて羨ましい。文化や世代、状況による価値観の違いがあるのは当然で、そこら辺りを包み隠さず丁寧に描いているから感動するんだろうなぁ。最近、叱れない上司が問題になっていて、愛と論理で叱れば部下は聞いてくれるなんていいますが、最後の方でボラ助が晋太郎に叱られるシーンには論理はまるでなくて、それがなんだか痛快です。愛がたっぷりあればいいんだよね(でも、これは会社では通用しないか)。最後は愛犬家には反則です。

「さぁこれからだ」いい言葉ですね。
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by dlynch | 2008-08-13 00:00 | book