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cinema and book

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スティーブ・ジョブズ 神の交渉力 | 竹内 一正

e0012194_23484417.jpgワタクシの仕事における最大の自慢は、日本で最後の開催となったMacworld Tokyo 2002のキーノートに数分とはいえ登壇し、かのスティーブ・ジョブスと壇上で肩を並べたことです。えへん。

このときのリハで驚いたのは、仕切りがApple Japanではなく、本国のスタッフだったこと。厳重なセキュリティを通過して、会場を覆う黒い布を捲って中に入ったそこはApple Inc.。そして、内容のチェックが細かくて、何かといえば「それはジョブス的にNGだから変更して」(たぶん、フィリップ・シラーだったと思う)とうるさいうるさい。ジョブスというカリスマの存在を肌で感じたのでした。

『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力』を読んでいると、そのカリスマを形作るネゴシエーションのエピソードがこれでもかと紹介されるわけですが、一般ピープルには真似できない交渉術ばかりなので、ここから何かを学ぶと言うよりも、歴史書でも読む感覚で、偉人の行動に驚き、憤り、感心するのが正しい読み方かな。

ちなみに、このときに眼前で見たジョブスのプレゼンはいまでも脳裏に焼き付いてます。通常、よいプレゼンターに出会ったときは、ああいう見せ方や間の取り方を自分のプレゼンにも採り入れようと考えるんだけど、あまりにもレベルが違いすぎて、どこを真似すればいいかさえ分からず、ただ、その魅力と迫力に陶酔。あれは、神のプレゼンでした。
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# by dlynch | 2008-11-23 23:57 | book

天使のナイフ | 薬丸 岳

e0012194_0333954.jpgときどき本屋に平積みされていて気になっていた『天使のナイフ』。この機会にと思って読み始めたらこれが大当たり。久しぶりにおもしろいミステリーに出会えました。

多くのミステリーで、少年法の過剰なまでの少年犯罪者の保護に疑問を投げかけ、被害者のやりきれない思いを軸に物語を組み立てていくケースは多く、この作品でもその視点は同様なんだけど、加害者側の心理や状況にも踏み込んだところが、これまでの作品とは違うところ。桧山に自分を重ねながらも、またもや考え込んでしまいました。『さまよう刃』で考え込んでしまった方はこちらもぜひご一読を。

ミステリーとしても一級品で、果たして犯人はだれなのか?そこに至るまでの課程が作り込みすぎなんじゃないかというくらいのものすごい仕掛けになってます。これから集中して読んでみよっと。
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# by dlynch | 2008-11-19 00:46 | book

ラストゲーム 最後の早慶戦 | 神山 征二郎

e0012194_23374473.jpgいいところがまるでなかった『フライング☆ラビッツ』に対して、不覚にも涙してしまった『ラストゲーム 最後の早慶戦』。こういう映画を観て、泣いてしまうのは、歳をとってしまったということなんだろうか?

話はとてもベタです。ポスターのコピーだけでどんな展開になるのか想像がつくくらいオーソドックス。でもね、それでも、学生時代にラグビーをやっていたせいか、スポーツにおける試合の大切さってよく分かるし、ましてや早慶戦となれば、そこの学生となれば、試合に賭ける思いが違うはず。ましてや、もう間もなく出陣しなければならない、生きて帰れる保証はなく、生きて帰ってくると口にすることもできない。そんな状況下で、せめて子供たちに試合をやらせてあげたいっていう監督や父親や母親や兄や妹や合宿所の女中さんの気持ちを考えると涙が出てしまうわけですよ。そして、最後の応援エール。あれもベタな演出だけど、やられました。ぐすん。

俳優陣もすばらしくて、学長や監督、両親のベテラン勢はもちろん、野球部員たちが抜群によかった。とくによかった渡辺大は渡辺謙の、柄本佑は柄本明の息子なのね。ひさしぶりによかった邦画でした。
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# by dlynch | 2008-11-17 23:37 | cinema

フライング☆ラビッツ | 瀬々 敬久

e0012194_21483254.jpg今回のフライトはJALだったので、帰りの機内では珍しく機内エンタメで映画を視聴。米系の航空会社だと、中国語の字幕が入ってたり、画質がとんでもなく悪かったりするので、使うことはほとんど無いのです。

JALに敬意を表して『フライング☆ラビッツ』を観てみたんだけど、これがとんでもない駄作。まるでいいところなし。これで劇場に足を運んでもらおう、DVDを買ってもらおうって、いったいどんな了見で映画を作ってるんだ?と関係者のレベルを疑いたくなるような、それくらいの駄作です。

石原さとみと真木よう子が同室だったり、寮母さんが元メンバーだったりするのにそれがまるで生かされず、監督が韓国人である必然性がまるでなく、彼氏はいつのにかパンクロッカー>坊主見習い>実家で坊主とすごい変わり身で、おまけに試合中に恥ずかしい歌を絶唱する恥ずかしい演出(アンパンマンの歌なんだってね)、合コンがなぜだか東京タワーの展望室、ハムスターって機内に持ち込めるの?ツッコミどころ満載。

そもそも、日本リーグのチームの試合にド素人を使うことからしてあり得ないし、その理由が監督のカンだし、石原さとみがシュートを打てない理由も不明だし、おまけに、仕事をほっぽって、彼氏に会いに行って、そのペナルティをクリアしてないのに、試合に出てるし・・もう、むちゃくちゃ・・。
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# by dlynch | 2008-11-16 22:05 | cinema

魔王 | 伊坂 幸太郎

e0012194_0274381.jpg伊坂 幸太郎、人気ですね。これまで3冊読んでみたものの、自分には今ひとつピンと来ず、でも、『ゴールデンスランバー』がこれだけ絶賛されていて、書店に行けば特設コーナーができてるともなれば、気になってくるので『魔王』を読んでみました。

でも、やはりピンと来ず。前に『グラスホッパー』を読んだときに「会話のさせ方は軽妙で楽しい」と書いてるんだけど、たしかに軽妙は軽妙。でも、どこか嘘っぽい感じがする。舞台で交わされてる会話のような違和感を感じたのでした。宮澤賢治やムッソリーニの引用もそう。どこかとってつけた感が拭えない。

一番の不満はファシズムを含む、政治的な要素がとても重要であるにも関わらず、そこがとっても薄いこと。『愛と幻想のファシズム』の足下に遠く及ばない。だから、犬養というキャラクターちっとも掴めず、安藤との対立もイメージできない。ディテールをきちんと書くことって、大勢を把握するために重要です。

クラレッタのスカートを直す人間ではありたいですな。
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# by dlynch | 2008-11-13 23:59 | book

闇の子供たち | 梁 石日

e0012194_23453567.jpg『恋人たちの予感』にほのぼのする一方で、対照的に気分をどん底まで下げてくれたのが『闇の子供たち』。映画化されて話題になってるので、どんなもんかと軽い気持ちで読み始めたら・・参りました。

これを読むときには覚悟を決めて臨まなければなりません。幼児売春や臓器売買という単語だけでは想像がつかない、恐るべき生々しい現場を、これでもかと描写を重ね、とくに前半はその連続なので、気分がどんどん下がっていきます。フィクションなんだからと言い聞かせても、こんな現実が世界のどこかにあるんじゃないかと想像しちゃうので、やりきれない。ペドファイルってほんとに存在するんだよね?怖い。

最後にとった南部と音羽の行動の違い。とちらが人として正しいのか、日本人としてとるべき行動なのか、読み終えて一週間経ったいまでも結論は出ません。たぶん、こうして日本で普通に暮らしている限り、結論は出せないとも思うし。

あーこんなにコメントが書けない作品は久しぶり。また読んで出直してきます。さて、映画はどんな出来になってるんだろうか。
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# by dlynch | 2008-11-12 23:49 | book