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デカルトの密室

デカルトの密室_e0012194_0241016.jpg『パラサイト・イヴ』に衝撃を受けて以来、新刊が出る度にハードカバーを買い求めている瀬名秀明さんの最新作『デカルトの密室』を見かけたときには、迷わず購入しちゃったんだけど、枕元で読む本ではありませんでした。お昼にパスタを食べながら読むものでもない。ロッキングチェアにゆったり腰掛けて、北方謙三風にバーボンでも傾けながら読みたい、そんな本です。

なにしろ科学と哲学が融合した471ページの小説ですからね。題名にもなっているルネ・デカルトの著書にはじまって、ロボット工学とかチェスとかコンピュータ創生期の話とかホムンクルスとか論理哲学論考とかサールの中国語の部屋とかAIとか指輪物語とか逆さメガネとかフレーム問題といったように日常生活とは全く無縁のキーワードがばんばん出てくる。ぼんやり読んでると何が何だかわからなくなるので、姿勢を正して、しっかりじっくりと読んであげないといけません。

おかげで読み終えるのに時間も労力もかかったけど、「我思う、ゆえに我あり」というデカルトの有名な哲学的命題を、人間が人間に似せて創造したロボットの観点から描いた物語は、なかなかに楽しめました。次にビーチに持って行くことが決定した一冊です(前回、バリに持って行ったのは『ねじまき鳥クロニクル』)。

ところで、ケンイチは手塚治虫への、フランシーヌはデカルトへのオマージュなんでしょうね。本作とは全然関係ないですが、やはりデカルトのフランシーヌ人形へのオマージュに溢れている『からくりサーカス』(少年サンデーで連載中)はとってもおもしろい。来週はついにギイが散るのか・・。
by dlynch | 2005-12-08 00:29 | book
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