一時、乃南アサにはまった時期がありました。後にヨメとなる女性が貸してくれたのがきっかけ。それまでサスペンスというジャンルを読んだことがなかったので、とても新鮮で片っ端から読み漁った記憶があります。最初に読んだのは何だったかな?
『幸福な朝食』だったか
『6月19日の花嫁』だったか。いずれにせよ
『凍える牙』でなかったのは確かで、これは乃南熱が落ち着いた頃に読みました。
というわけで
『嗤う闇』。
『凍える牙』でデビュー?した女刑事 音道貴子シリーズの第三弾です。女性である彼女の視点や体験を通じて語られる警察組織や刑事、事件がこのシリーズの魅力の一つですが、本作でもそれは健在。短篇集だけに事件の規模も小さいのでサスペンス性は薄いんだけど、代わりに際だつのが登場人物たちの心理描写。さらりとした行間から音道さんのため息が聞こえるようで、乃南さんの魅力はやっぱりこの細やかな心理描写ですね。
ところで音道さん、最初の頃に較べるとカドがとれたような。