おそらく史実としてのマリー・アントワネットに詳しかったり、思い入れのある人だと、この
『マリー・アントワネット』には非難囂々なんだろうなと思うんだけど、フランス革命そのものが忘却の彼方に飛び去っている不勉強に私には、等身大の王妃の青春映画として楽しめました。
とにかく、キルスティン・ダンストがキュート。最近の彼女を見る度に
『スパイダーマン』のMJのことをなんてブサイクな女優さんなんだろうと思った自分の眼力のなさを痛感しちゃうわけですが、オーストリアからフランスに連れてこられたときの心細くも凛としなければならない気高さや世継ぎのプレッシャーをオーギュストにかけないように努めるいじらしさ、ストレスからギャンブルや火遊びに走る脆さ、どれをとってもとってもキュート。本物のヴェルサイユ宮殿はもちろん、色とりどりのファッションやお菓子も見どころの一つなんだけど、別荘としてもらったプチ・トリアノン宮でのシンプルな町娘のようなドレス姿も清楚でキュート。この映画は彼女の魅力に尽きます。
ソフィア・コッポラらしく、カットの切り方がCMのようにテンポが良くて、音楽も80'sのUKを巧く使っていていわゆるスタイリッシュな作品に仕上がっているので、歴史物としてあんまり構えずに、王妃であることを宿命付けられたある一人の女性の物語を愉しみましょう。