伊坂 幸太郎、人気ですね。これまで3冊読んでみたものの、自分には今ひとつピンと来ず、でも、
『ゴールデンスランバー』がこれだけ絶賛されていて、書店に行けば特設コーナーができてるともなれば、気になってくるので
『魔王』を読んでみました。
でも、やはりピンと来ず。前に『
グラスホッパー』を読んだときに「会話のさせ方は軽妙で楽しい」と書いてるんだけど、たしかに軽妙は軽妙。でも、どこか嘘っぽい感じがする。舞台で交わされてる会話のような違和感を感じたのでした。宮澤賢治やムッソリーニの引用もそう。どこかとってつけた感が拭えない。
一番の不満はファシズムを含む、政治的な要素がとても重要であるにも関わらず、そこがとっても薄いこと。
『愛と幻想のファシズム』の足下に遠く及ばない。だから、犬養というキャラクターちっとも掴めず、安藤との対立もイメージできない。ディテールをきちんと書くことって、大勢を把握するために重要です。
クラレッタのスカートを直す人間ではありたいですな。